訪問診療でできる検査は?——採血・尿検査でわかること、在宅で受けられる医療の中身
訪問診療のご相談で、思いのほかよく聞かれるのが「家だと検査はできないんですよね?」という一言です。血液検査を受けるだけのために、車椅子でタクシーを呼び、待合室で長く待ち、また同じ道を帰ってくる——その往復がどれほど大きな負担か、ご家族はよくご存じだからこそ、なかば諦めた口調で尋ねられます。
けれど実際には、病院でしかできないと思われている検査の多くが、ご自宅や施設のベッドの上でも受けられます。今日は、訪問診療でどこまでの検査ができて、どこからは病院と手を組むのか、その線引きをご家族・ケアマネージャーの皆様に向けて整理してみます。
その場で受けられる検査——採血・尿検査・迅速検査
いちばん出番が多いのは、やはり採血と尿検査です。訪問のときにその場で採取し、貧血や炎症、腎臓や肝臓の働き、電解質、栄養の状態などを確かめます。結果は検査会社を通すため、原則として翌営業日以降の共有になりますが、急ぎの所見が出たときはその日のうちにご連絡します。夏場に食欲が落ちている方であれば、脱水や栄養の状態を数字で押さえられるのは大きな安心につながります。
発熱や咳が続いて感染症が疑わしいときには、インフルエンザや新型コロナウイルスの迅速検査を、症状や在庫に応じてその場で行います。「わざわざ熱のある体で受診しなくても、家で調べてもらえた」と、ほっとされるご家族が少なくありません。採血の数字とあわせて、今の体の中で何が起きているのかを、その日のうちに大づかみできます。
傷や床ずれの評価、点滴・注射も家の中で
検査だけでなく、その場での処置も在宅医療の得意とするところです。床ずれ(褥瘡)や治りにくい傷については、深さや感染の兆しをその場で評価し、処置とご家族への手当ての仕方の説明まで、一連の流れで対応します。傷の様子は日によって変わりますから、定期的に同じ目で見続けられることが、じつは大きな意味を持ちます。
飲み込みや食事が細ってきて水分が足りない方には、ご自宅や施設での点滴という選択肢もあります。脱水を補ったり、栄養や痛み・吐き気をやわらげる支持療法として、通院せずに続けられるのは在宅ならではの利点です。どこまで行うかは、そのときのご本人の状態とご希望に合わせて相談しながら決めていきます。
家では難しい検査は、病院と手を組みます
一方で、在宅ですべてが完結するわけではありません。心電図やエコー(超音波)、レントゲン、CT、MRI、内視鏡など、専用の機器を要する検査は、当院では提携する医療機関と連携して手配します。私たちの役割は、必要性を見極めて段取りを整え、往復の負担がいちばん小さくなるよう日程や送りの手配を相談することです。どんな検査を「する・しない」を決めるのは、いつもご本人・ご家族との話し合いのなかで、です。
訪問診療でできること・できないことの全体像は、別の記事にもまとめています。あわせてご覧いただくと、在宅医療の守備範囲がつかみやすいかもしれません。
検査は「暮らしに合わせて」計画します
大切にしているのは、検査そのものを目的にしないことです。何のために調べ、結果をどう暮らしに生かすのか。そこが定まっていない検査は、ご本人の負担を増やすだけになりかねません。だから初回の訪問では、症状やこれまでの経過、お薬、そして日々の暮らしぶりを伺いながら、どの検査をどのくらいの間隔で行うかを一緒に決めていきます。診察の頻度も、月に一度でも二度でも、そのときの状態に合わせて柔軟に見直します。
そして、その日の様子で「これは今すぐ確かめたほうがいい」と感じたら、その場で動きます。夜間や休日に急な変化があったときの往診でどこまで対応できるかも、あらかじめ知っておいていただけると、いざというときに慌てずにすみます。
「通院がつらいから検査を諦める」の前に
検査が必要なのに、通院の負担を思うと足が遠のく。そのうちに機会を逃してしまう——そういう場面を、私たちは何度も見てきました。家の中で越えられる壁は、思っているより多いものです。札幌市中央区を中心に訪問診療を行う当院では、「こういう検査はできますか」という問い合わせだけでも構いません。今の状態に合わせて、無理のない検査の計画を一緒に考えます。まずはお気軽にご相談ください。
札幌インターナショナルクリニック 院長 吉峰 玲
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