在宅・施設での点滴は可能?——安全に始めるための考え方
「ここ数日、食欲がなくて水分もあまり摂れていないんです」——訪問診療のご相談で、そんな声をうかがうことがあります。ご家族の頭には「点滴した方がいいのでは」という考えがよぎりますが、同時に「点滴って病院じゃないとできないんですよね」という思い込みも根強くあるようです。
結論から言うと、点滴はご自宅や施設でも行うことができます。ただし「とりあえず点滴をしておく」というものではなく、何のための点滴かをはっきりさせたうえで、医師の診察に基づいて計画的に行うことが前提になります。今日は、在宅・施設での点滴を安全に進めるための考え方を整理します。
在宅・施設での点滴は選択肢になり得ます
訪問診療の枠組みでは、ご自宅や入所されている施設でも点滴を行うことができます。目的として挙げられることが多いのは、脱水や食欲不振で水分・栄養が不足しているとき、感染症に対する補助的な治療が必要なとき、痛みや吐き気などのつらい症状をやわらげたいときなどです。どのような目的で、どの薬剤を、どのくらいの量・期間使うかは、実際に診察したうえで医師が判断します。当院で対応できる点滴の内容や、施設での実施にあたっての手順については、状態やご希望に応じて個別にご相談いただければと思います。
「点滴すればなんとかなる」ではありません
点滴は万能の解決策ではない、という点も併せてお伝えしたいところです。経口摂取や生活リズムの見直しとセットで行ってこそ効果が上がるものであり、飲めるものは飲む、食べられるものは食べる、という土台があってはじめて生きてきます。また、続ければ続けるほど良いというものでもありません。短期間で状態を見極め、続ける理由をそのつど確認しながら進めるのが基本の考え方です。
安全に行うための考え方
点滴を安全に行うには、いくつかの視点が欠かせません。
- 目的の明確化:何を、どのくらいの期間で改善したいのか
- 投与計画:量・速度・期間を、腎臓や心臓の状態に合わせて調整すること
- 副作用の見守り:発熱や発疹、むくみ、呼吸苦などの変化がないかを確認すること
- 針を刺した部分の管理:赤みや痛み、漏れがないかの確認
次のような変化があれば、様子を見ずにご連絡いただきたいと考えています。息苦しさが増した、むくみや体重が急に増えた、強い悪寒とともに高熱が出た、針を刺した部分が強く痛む・膿が出ている——といった場合です。
始め方の流れ
- まずはご相談:電話などで、今の症状や経過を簡単にお伝えください
- 診察:医師が実際にお身体を診て、点滴が必要かどうか、必要ならどんな計画にするかを判断します
- 実施と経過観察:ご自宅や施設で点滴を行い、体調の変化を確認します
- 見直し:体調や検査の結果を踏まえて、続けるか終えるかをそのつど判断します
費用は医療保険の範囲で計算されます。内容によって異なりますので、目安は診察の際に個別にご説明します。医療保険と介護保険の使い分けについてはこちらの記事でも解説しています。
「飲めない、食べられないのがつらそう」「点滴が必要かどうか判断してほしい」——そうした段階でのご相談で構いません。札幌市中央区を中心に訪問診療を行う当院として、ご自宅や施設でできる選択肢を一緒に考えていきたいと思います。訪問診療と往診の違いについてはこちらの記事、退院直後の在宅療養についてはこちらのページもあわせてご覧ください。
札幌インターナショナルクリニック 院長 吉峰 玲
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