特別訪問看護指示書はいつ出せる?——終末期・退院直後の「特指」、依頼のコツ
看取りが近づいてきた方に、本当はもう少し看護師さんに頻繁に入ってほしい。けれど介護保険の支給限度額はもうぎりぎりで、これ以上訪問回数を増やせない——在宅の現場では、こういう場面によく行き当たります。
そんなときに使えるのが「特別訪問看護指示書」(以下、特指)です。ただ、「終末期といっても老衰だから対象外ですよね」「特指はがんの方だけの制度では」という言葉を、これまで何度か耳にしてきました。今日はこの特指について、制度の要点と、依頼していただくときのポイントを当院の考え方とあわせて整理します。
特別訪問看護指示書(特指)とは
主治医が診療に基づいて、「一時的に週4日以上の頻回な訪問看護が必要」と判断したときに交付する指示書です。急性増悪・終末期・退院直後などが典型的な場面です。
- 有効期間は、判断のもとになった診療の日から14日以内。交付は原則月1回です。
- 気管カニューレを使用している方、真皮を越える褥瘡がある方は、月2回まで(14日+14日で最大28日)交付できます。
- 特指は、通常の訪問看護指示書に「上乗せ」して交付するもの。特指単体では動けず、通常の指示書がすでに出ていることが前提です。
「老衰だから対象外」ではありません
特指の対象になる終末期は、がんに限りません。高度な心不全、神経難病、そして老衰の看取り期であっても、医師が「いま一時的に頻回な訪問が必要」と判断すれば対象になり得ます。老衰という病名そのものが対象外なのではなく、"いま頻回な訪問が要る状態かどうか"が判断の軸だと考えています。
介護保険を使い切っていても、医療保険に切り替えられる場面があります
訪問看護は原則、介護保険が優先されます。ただし特指の期間中や、厚生労働大臣が定める疾病等(いわゆる別表7・8)に該当する場合は、医療保険での訪問看護に切り替えて算定することができます。「支給限度額を使い切ったから、これ以上は増やせない」と決めてしまう前に、医療保険への切り替えという選択肢があることを、まずは知っておいていただけたらと思います。
依頼するときにお伝えいただきたいこと
特指は「診療に基づく」交付が原則なので、まず診察の機会が必要です。訪問診療や往診(訪問診療と往診の違いについてはこちらの記事でも解説しています)の中で状態を確認したうえでの判断になります。
依頼の際に、次のような情報をあわせていただけると、判断がスムーズです。
- 直近の状態変化(呼吸状態、疼痛、意識レベル、不穏など)
- 頻回訪問が必要な具体的な理由(医療処置の頻度、ご家族への手技指導、夜間急変への備えなど)
- いつからいつまでの頻回訪問を想定しているか
まずはお電話(011-213-1017)かFAX(011-213-1018)でご一報ください。診察の日程を調整したうえで必要性を確認し、指示書の交付を検討します。診療なしに機械的に交付することはできない、という点はご理解いただけるとありがたいです。退院直後の一時的な頻回訪問については、退院後の在宅療養についてのページでも触れています。
ケアマネージャー・訪問看護・地域包括支援センターの皆さんへ
当院が主治医として関わっている方について、「そろそろ頻回な訪問が必要かもしれない」と感じたら、抱え込まずにまずご相談ください。特指が使えるかどうかは診察のうえでの判断になるため必ずお約束できるものではありませんが、状態に応じてできる限り早く動きたいと考えています。
介護保険と医療保険の切り替えは、書類の手間が増える面もあります。それでも、利用者さんの安全を守るための制度の使い方のひとつです。札幌市中央区を中心に訪問診療を行う当院として、現場の皆さんと一緒にこの制度を"迷わず使える"ものにしていきたいと思っています。
札幌インターナショナルクリニック 院長 吉峰 玲
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