終末期医療の選び方——自宅・病院・施設、それぞれの特徴と決め方

「最期の時間を、どこでどう過ごすか」。この問いに正解はなく、だからこそ、元気なうちから少しずつ考えておくと、いざというときに慌てずにすみます。今日は、終末期医療の場所の選び方について、当院の考え方も交えて整理してみたいと思います。

終末期医療とは——基本の言葉

終末期医療は、病気の治癒を目指すのではなく、痛みや不安を和らげながら、ご本人らしく過ごすための医療です。緩和ケアは、痛みや呼吸苦、不眠などのつらさ全体をやわらげ、生活の質を保つためのケアを指します。またACP(人生会議)という言葉もよく耳にするようになりました。ご本人の価値観や希望を、家族や医療・介護のスタッフとあらかじめ共有しておくプロセスのことです。目的は「長く生きること」だけではなく、納得して過ごすための選択を支えることにあります。

自宅 病院 施設

自宅・病院・施設、それぞれの特徴

どこで過ごすかに、絶対的な正解はありません。それぞれの特徴を知ったうえで、ご本人の価値観に合わせて選んでいただければと思います。

  • 自宅(在宅医療):住み慣れた環境で、生活のリズムを保ちながら過ごせます。一方で、症状が変化したときにすぐ対応できる体制(訪問診療・訪問看護)が欠かせません。
  • 病院(緩和ケア病棟など):検査や処置の体制が近くにあります。一方で、生活の自由度は下がり、面会に制限がある場合もあります。
  • 施設:日常的なケアの体制が整っています。医療的な必要度によっては、連携する医療機関の体制を確認しておく必要があります。

自宅で過ごしながら、必要なときだけ病院を利用する、という行き来も選択肢の一つです。

在宅でもできる緩和ケアの例

在宅であっても、次のようなケアに取り組むことができます。

  • 痛みのコントロール:薬の種類や量、タイミングを状態に合わせて調整する
  • 呼吸のつらさへの対応:体位の工夫や環境の調整など
  • 食欲不振や吐き気、便秘といった消化器症状への対応
  • 不眠や不安への対応:環境の調整や、必要に応じた薬の使用
  • 褥瘡(床ずれ)などの創傷ケア

どこまで対応できるかは、その方の状態によって変わりますので、診察のうえで一つひとつ確認しながら進めていく形になります。在宅での看取りに向けた準備についてはこちらの記事でも詳しくまとめています。

費用の考え方

在宅医療の費用は、医療保険と介護保険の組み合わせで考えます。医療保険は訪問診療や往診、処置や薬などに、介護保険は訪問介護やデイサービス、福祉用具などにあてられます。自己負担の割合は所得などによって1〜3割が目安で、高額療養費制度など負担を抑える仕組みもあります。具体的な金額は状態や訪問の回数によって変わるため、個別にご説明しています。医療保険と介護保険の使い分けについてはこちらの記事もご参照ください。

迷ったときの決め方

「自宅にするか、病院にするか、施設にするか」——一度決めたら変えられない、というものではありません。ACPは一度で完成させるものではなく、体調や気持ちの変化に合わせて、何度も見直していくものです。まずはご本人の希望を言葉にしてみることから始めていただければと思います。

まずはご相談を

「どこまで家でできるのか」「今の状態でも対象になるのか」——そうした段階でのご相談も歓迎しています。札幌市中央区を中心に訪問診療を行う当院として、ご本人・ご家族の希望に沿った選択を、一緒に考えていきたいと思います。

この記事を書いた人
札幌インターナショナルクリニック 院長 吉峰 玲
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