訪問診療と外来通院、どっちが向いてる?——判断の目安とチェックリスト
「もう外来に連れて行くの、正直しんどくなってきて」——ケアマネージャーの皆様からのご相談で、こういうひと言をよく耳にします。半日仕事を休み、車いすを車に積み込み、待合室で何十分も座って待つ。診察そのものより、そこにたどり着くまでの手間で、ご本人もご家族もくたびれてしまう。そんな声です。
「うちはもう訪問診療に切り替えたほうがいいのでしょうか」という問いに、いつも決まった正解があるわけではありません。ただ、判断の目安になる考え方は確かにあります。今日は、外来通院と訪問診療、どちらが今のご本人・ご家族に合っているかを考えるための目安を整理してみます。
「どちらが正しい」ではなく「今どちらが合っているか」
先にお伝えしておきたいのですが、訪問診療は外来通院より優れているという話ではありません。ご本人が自分の足で歩いて通え、それが日々の張り合いにもなっているなら、通院を続けること自体に大きな意味があります。私たちが見ているのは優劣ではなく、「今の暮らしに、どちらが無理なく続くか」という一点です。
からだへの負担で考える
まず見ていただきたいのは、通院という行為そのものが、ご本人にどれだけの負担になっているかです。
- 付き添いがなければ受診そのものが成立しない
- 通院した日は、そのあと数日ぐったりして体調を崩す
- 外出のたびに転倒が心配で、家族が気を張り詰めている
- 診察の中身より、移動と待ち時間の負担のほうが大きくなっている
「通院できているかどうか」だけでなく、「通院に見合うだけの体力が残っているかどうか」も、あわせて見ていただきたいところです。この点は訪問診療の対象になる人・ならない人の記事でも詳しく触れています。
くらしとご家族の負担で考える
次に見ていただきたいのは、ご本人を取り巻く暮らし全体の負担です。
- 受診のたびに、どなたかが仕事を休んで付き添っている
- 認知症などがあり、外出そのものが混乱や不安のきっかけになりやすい
- 冬場の外出がとくに危険で、その時期だけ通院が滞りがちになる
- 送迎をお願いできる人が、家族の中にも周りにも見つからない
札幌の冬は路面が読めない日が続きます。「雪の間だけでも」というご相談も少なくありません。季節によって通院が不安定になること自体、切り替えを考える一つのきっかけになります。
医療の中身で考える
最後に、今受けている医療の中身そのものも判断材料になります。
- お薬の種類が増え続けていて、飲み忘れや重複が気になる
- 褥瘡(床ずれ)の処置や酸素療法など、継続的なケアが必要になっている
- 心臓や呼吸器の持病があり、体調の波が急で日々の変化を見ておきたい
- 体調の異変を、その都度病院に相談すること自体が大変になってきた
こうした項目に心当たりが重なるほど、訪問診療のような「定期的に様子を見にいく医療」との相性が良くなっていきます。
逆に、外来通院を続けたほうがいいとき
ご本人が自分の足で通院でき、それが安定して続けられているなら、無理に切り替える必要はありません。検査や治療の中心が専門的な設備のある病院にある場合や、通院そのものが外出の機会・社会参加になっている場合も同様です。訪問診療は万能な選択肢ではなく、外来のメリットが大きい間は、外来を続けることが正解ということもあります。
迷ったら、切り替える前にまず「相談」だけでもいい
訪問診療は、条件がすべて整ってから始めるものというよりも、まずつながっておいて、そこから体制を整えていくことが多いものです。「まだ通院できているけれど、そろそろかもしれない」という段階でご相談いただいても構いません。今のかかりつけの先生を変えたくないという場合も、かかりつけ医との併診というかたちで進められることがあります。介護保険の申請にあたって主治医意見書が必要になる場面でも、当院からご案内できます。
迷っている段階で一度整理しておくと、実際に通院が難しくなったときに慌てずに済みます。判断に迷うこと自体は、決して珍しいことではありません。
札幌市中央区で、通院と暮らしのバランスを一緒に考えます
通院か訪問診療かは、一度決めたら変えられないものでもありません。冬場だけ訪問診療を併用する、体調が落ち着いたら通院に戻す、といった見直しも可能です。札幌市中央区を中心に訪問診療を行う当院として、「まだ通院できているけれど、そろそろどうしようか迷っている」という段階のご相談こそ、お受けしたいと思っています。
札幌インターナショナルクリニック 院長 吉峰 玲
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