訪問診療、毎回家族の立ち会いは必要?——同席が要る場面・不要な場面
「今日も仕事を半休にして立ち会わなきゃ」——訪問診療を始めたばかりのご家族から、こんな声を聞くことがあります。月に1〜2回とはいえ、平日の診療時間に毎回都合をつけるのは、働きながら介護をしている方にとって決して軽い負担ではありません。
結論からお伝えすると、訪問診療のたびに毎回ご家族が立ち会う必要はありません。ご本人だけで診察を進められる場面は多くあります。今日は、同席がなくても大丈夫な場面と、できればご一緒いただきたい場面について整理します。
同席がなくても進められる場面
診察の中心はあくまでご本人です。ご本人が内容を理解し、ご自身の言葉で状態を伝えられる場合、次のような診察はご本人だけで問題なく進められます。
- 症状が安定しているときの定期フォロー
- 血圧や検査結果の共有と、処方の軽微な調整
- 生活リズムやちょっとした困りごとの相談
プライバシーへの配慮という意味でも、ご本人お一人で話せる時間があることには意味があると考えています。
同席いただけると安心な場面
一方で、次のような場面ではご家族の同席をお願いすることがあります。
- 初めての訪問(これまでの経過や生活の様子をうかがう場面)
- お薬を大きく見直すときや、治療の方針を変えるとき
- 入院や施設入所など、大きな選択を検討するとき
- 難聴や認知機能の低下などで、ご本人おひとりでは意思疎通が難しいとき
こうした場面では、ご本人とご家族が同じ説明を同じタイミングで聞いていただくことが、後々の行き違いを防ぐことにつながります。
どうしても立ち会えないときは
「大事な話だとは分かっているけれど、その日はどうしても仕事を抜けられない」ということもあると思います。そうした場合には、お電話での説明や、日程・時間帯の調整で対応できることがあります。ご家族の代表となる連絡先をひとつ決めておいていただくと、その後の連絡や情報共有もスムーズになります。対応の可否や具体的な方法は状況によって異なりますので、診療の際にご相談ください。
意見書や人生会議(ACP)など、ご本人の意思をあらためて確認しながら進める場面については、主治医意見書についての記事や在宅での看取りについての記事もあわせてご覧ください。
情報共有はご本人の同意のうえで
診察の内容をどこまでご家族と共有するかは、ご本人の同意が前提になります。当院では、代表の連絡先を初回に確認し、変更があればその都度お知らせいただく形をとっています。ご本人の意思を尊重しながら、必要な情報が滞りなくご家族に届くよう心がけています。
札幌インターナショナルクリニック 院長 吉峰 玲