インフル・コロナ・風邪の見分け方(高齢者編)——自宅でのチェックポイントと受診の目安
「熱があるみたいだけど、インフルエンザなのか、コロナウイルスなのか、それともただの風邪なのか」。ご高齢のご家族が体調を崩したとき、この判断で立ち止まる方は少なくありません。高齢の方は症状がはっきり出ないことも多く、「もう少し様子を見てから」が長引くほど、肺炎や脱水などのリスクが高まりやすい点には注意が必要です。
※本記事は一般的な目安です。症状が強い場合や不安が強い場合は、早めに医療機関へご相談ください。
まず確認したい危険サイン——迷わず救急要請・受診を
高齢の方は「苦しい」とはっきり訴えないこともあるため、見た目や数値での判断も大切です。次のような様子があれば、救急要請(119番)や緊急の受診を検討してください。
- 呼吸が苦しそう、息切れで会話が続かない
- 意識がぼんやりしている、いつもと様子が明らかに違う
- 唇の色が悪い、胸に強い痛みがある
- 水分がほとんど取れない、尿の量が極端に少ない
- パルスオキシメーターの数値がいつもよりかなり低い
ご家庭にパルスオキシメーターがあると、普段の数値との比較ができ、判断の助けになります。本人が「そんなに苦しくない」と言っていても、数値がいつもより下がっている場合は注意が必要です。
症状だけで見分けるのは、実は難しい
インフルエンザ、コロナウイルス、風邪は症状が重なる部分が多く、見た目だけで確実に区別するのは簡単ではありません。傾向としてよく言われるのは、次のようなことです。
- インフルエンザ:急な高熱、強いだるさ、関節や筋肉の痛みが出やすい(高齢の方は高熱が出ないこともあります)
- コロナウイルス:発熱の程度はさまざまで、のどの痛みや咳、だるさが数日かけて変化することがある
- 風邪:鼻水やくしゃみなど上気道の症状が中心で、発熱があっても比較的軽いことが多い
ただしRSウイルスなど他の感染症の可能性もあり、「風邪っぽいから大丈夫」と決めつけないことも大切です。判断に迷うときは、市販の抗原検査キット(体外診断用医薬品として承認されたもの)を使う選択肢もあります。
高齢者ならではの注意点
高齢の方は、感染していても高熱が出ないことがあります。熱の高さだけで安心・心配を判断せず、食欲や水分の摂れ方、いつもと違う様子がないかを見てあげてください。また、症状がウイルス性であれば、自己判断で抗菌薬(抗生剤)を使うことは基本的に適していません。検査が陰性でも、症状が強い・悪化するようなら再度相談することをおすすめします。
受診の目安と自宅でのケア
次のような場合は、当日から翌日には医療機関へ相談することをおすすめします。
- 65歳以上で発熱や咳、のどの痛みがある
- 心不全や呼吸器の病気、糖尿病などの持病があり症状が出ている
- 食事や水分がいつもより取れていない
- 動きが鈍い、ぐったりしている
受診までの間は、水分を少量ずつこまめに摂る、体温や食事・水分の量をメモしておく、部屋の換気や手洗いなど基本的な感染対策を行う、といったことを心がけていただければと思います。
訪問診療が入っていると、判断の相談先が増えます
定期的な訪問診療を受けているご家庭では、体調の変化を主治医に電話で相談できるのも心強い点です。救急車を呼ぶべきか、往診で様子を見られるか——迷ったときの判断についてはこちらの記事で詳しく解説しています。訪問診療と往診の違いはこちらのページもご参照ください。
高齢の方の発熱は、「見分ける」ことより「悪化させない」ことを優先した判断が大切です。危険サインのチェックと、早めの相談を心がけていただければと思います。札幌市中央区で訪問診療を行う当院でも、体調の変化についてのご相談をお受けしています。
札幌インターナショナルクリニック 院長 吉峰 玲